勉強は何のためにするのか?ー新井リオ『英語日記BOY』感想
今回はこちらの本の感想を記録します。
私はこの本を、自分が高校生の頃に読めていたらもっと良かったのになと思いました。
もし私が学校の司書なら、必ず図書館に置きたいです。
なぜならこの本は英語学習のノウハウを伝えるだけではなく、「勉強すること」の本質を突いている本だと思うからです。
なんのために勉強するのか
子どもの頃、誰もが一度は大人たちにこんな質問をしたことがあるのではないでしょうか。
「なんでこんなこと勉強しなきゃいけないの?」
そして大抵は、大人たちに無意味な言葉でいなされます。
「良い大学に行って良い会社に就職して安定した収入を得て良い家庭を築くためだよ」
(じゃあそんな人生望んでないなら、勉強は全くしなくて良いの?)
ところが著者の新井リオさんは、こう答えています。
全ての勉強は「いつかの自分を救い、輝かせるため」にある。(p125)
勉強は、自分が望む未来を自分の手で実現するためにするものだと考えているのです。
この言葉だけを抜き取ると、中には「綺麗事だ」と感じる人もいるかもしれません。
それでも、この本を読めばそうは思わなくなるはずです。
綺麗事なんかではなく、泥臭く勉強して様々な挑戦をし、いろいろな人に出会い、たくさんの夢を実現していった著者の方のリアルな姿が見られるからです。
私は新井リオさんのライフストーリーに引き込まれすぎて、一駅乗り過ごしました。笑
綺麗事言うな!と思う方も、とにかく読んでみてほしいです。
勉強をすればするほど自分の人生でコントロールできることが多くなり、結果として自由で楽しい時間が増えるのかもしれない…それが勉強する意味なんだよね…と思わされました。勉強したくなります。
『英語日記BOY』から、優れた独学法も学べる
著者の方はデザインも独学でプロになったということで、もはや「独学のプロ」です。
この類稀なるプロが試行錯誤しながらたどり着いた独学方法・その考え方などを知れるということだけでも、この本を読む価値があります。
こんなの学校でもなかなか学べないと思います。
著者の方は勉強法を徹底的に自分の事情に合わせて作っていき、それを続けることで、結果を出すことに成功しています。
勉強法が失敗であればすぐに気づいて問題点を把握し、改善することができるのです。
この試行錯誤のプロセスもこの本にはちゃんと書かれているので、勉強法の勉強になります。
英語の具体的な勉強法をとってみても、まず自分にとっての「英語が話せる」とはどんな状態なのかを定義することから始め、英語を使って何がしたいか考える段階にまで踏み込み、サポートしてくれます。
こんな本質的な学び方を示してくれる語学本、めずらしいんではないでしょうか。
余談 勉強が苦手になる考え方
これは本当に余談なので読み飛ばしてもらってかまわないのですが、ふと考えたので一応。
学生時代、ノート提出ってありませんでしたか?
教科書の内容をノートにまとめて期日までに教員に提出し、評価を受けるあれです。
あるときクリエイティブな友人が、
書き写すことで覚えられるタイプならいいが、自分はそうではないから。
教科書にポイントを書き込んでノートとしたほうが、効率よく勉強できる」
と言い出し、その画期的な方法にみんなどよめいたことがありました。
そしてその子は言葉通り、締切日に教壇に積まれたノートの束の上へ、一人だけ教科書を置きました(その子にとってはノートですからね笑)。
しかし先生には「ズルをするな」と怒られて、結局ノートを新しく作り、再提出する羽目に…。
こういう、「勉強はみんな同じの言われた通りの方法でやるもの」「大変なことのほうが偉くて身になる、効率化はズル」みたいな考え方って、学校では支配的なような気がします。(今はどうなのかわかりませんが…)
ただ私が塾講師や家庭教師としていろいろな生徒さんたちと接してきた限りでは、この考え方に染まれば染まるほど、勉強の結果がついてこなくなるように見えました。
だってこの考え方、非効率的な上に楽しくないんですよ。それで伸びるほうがふしぎです。
この考え方を与えられ、勉強に苦手意識を持ってしまった子どもたちにも、ぜひ英語日記BOYを読んでほしいと感じました。新井リオさんの「勉強」は対極にあるからです。
英語日記BOYの感想 まとめ
泥臭く走りつづけて夢を叶えていく新井リオさんの姿は、とてもきらきらしていて、心を動かされます。
この本を読んで青春映画を一本見たかのような気持ちがしました。笑
読後はふしぎな爽快感があり、自分も未来を作ろうと希望がわきました。
また、新井リオさんの英語勉強法は、このマルチリンガルの方と共通している部分も少なくはないと思います。(「単語帳は自分で作る」など)
他の方からも似たようなやり方を聞いたことがあるので、語学の最適解の一つなのかもしれません。
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