末端冷え性なのに、部屋で靴下を履いていないやつ
冬の我が家はかなり寒い。リビングは南向きで日当たりがよいのだが、エアコンがついていない。ごはんを食べているときも、寒くてついぱくぱくと早く食べてしまう。エアコンのある部屋に行きたいからだ。
エアコンのある部屋は北向きで、基本的に暗い。いくら部屋を暖めても、末端冷え性の私にはつらいものがある。とくに足先が冷えて、動けなくなってしまうのだ。
恥ずかしながら、同居人が不在にしている休日は、布団のなかに潜りこんで一日を終えることもしばしば……。
部屋で靴下を履くのもあまり好きではなかった。靴下を履いていると、やはり締めつけられる感覚がある。部屋のなかではできるだけゆったりしていたい。夏の猫みたいに、どろんと液状化していたいのだ。
レッグウォーマーとか、もこもこ靴下とか、なにか冷え性対策グッズを買ったほうがいいのかな。と思いつつ、この家に引っ越してきて数年が経っていた。
足先を凍らせながら読む『ムーミン谷の冬』
冷え性唯一の安全圏・毛布のなかで、『ムーミン谷の冬』を読む。ムーミンたちは冬眠する生きものであるらしい。
いつでもみんなは、十一月から四月まで、冬眠するのです。（中略）みんなは、おなかの中に、彼らの先祖がそうしてきたように、どっさりと松葉をつめこんでいました。それからまた、みんなのねどこのそばには、春になったときにいりそうなものが、すっかりそろえて、おいてありました。シャベルだの、火をつけるときにつかう虫めがねとフィルムだの、風力計だの、そのほかいろんなものが。
ヤンソン、山室静訳『ムーミン谷の冬』講談社文庫、2011、P8~9
寝ころがって凍りついた足先をすりすり温めながら、このかわいらしい本のページをめくる。下に置いてあるのはディケンズ。
ところが冬眠するはずだったムーミンは、なぜか家族のなかでひとりだけ目を覚ましてしまう。ムーミンは生まれて初めて「冬」というものを体験することになり、大冒険が始まるのだ。
初めて雪に触れると、ムーミンの体に変化が起こる。
ムーミントロールは気がつかなかったけれど、このときから、彼のビロードのはだは、だんだんけばだってきたのです。それが冬の毛皮のがいとうみたいになるまでには、すこし時間がかかるでしょう。でも、とにかくそうなりはじめたのです。なんといっても、これはありがたいことでした。
同上、P17
いいなあムーミン。私は冬眠したくてもできないし（生理的にできても社会的に終わる）、冬になったら毛羽立ったりもできないよ。
私たち毛羽立てない生きものは、やはりモノに頼るしかないのかもしれない……。
ちなみにムーミンの作者であるトーベ・ヤンソンは、国際アンデルセン賞（小さなノーベル賞とも呼ばれる）を受賞した実力派の作家である。一読の価値あり。
末端冷え性、ついにもこもこ靴下を買ってみた
ついにスマホを手に取り、楽天で「冷え性 靴下」と検索した。そしていちばん上に出てきたものをえいやっと購入。
買ったのはこれだった。
まるでこたつとは、おおげさな。本当だったらいいな。
レッグウォーマーみたいで、本当にあったかい！
本当だった。靴下兼レッグウォーマーとでもいうのか、ふくらはぎまであったかい。問題の足先の冷えも、靴下のもこもこにより解消された。
心配していた締めつけ感も全くない。ただもこもこしているだけ。
さあ毛布から出るときだ。足先が凍りついていないから、家事もすいすいできる。部屋のなかを動きまわれるようになった。足先が冷えていないだけで、全体的にあったかくなった気がする。
……冷え性対策グッズ、なんでもっと早く買わなかったんだろう。靴下にお金かけたくないなあなんて貧乏性を発揮していた。でも足先があったまるだけでこんなに生産性が上がるなら、お金を払う価値はしっかりあったのだ。
「冷え性だから、冬はこういうものだ……」と諦めていたけど、こんなにかんたんに解決できるなんて。
なににお金を使うとQOLが上がるのか、判断するのはなかなかむずかしい。暮らしのなかで見過ごしてしまっている小さな不便や困りごとを、ちょっとずつ楽しく解決していける大人になりたいな。
まるでこたつソックスの弱点・けだま
しかし、この「まるでこたつソックス」にも弱点はある。それは、履きはじめて1週間ほどですでに毛玉ができたということだ。
私の歩き方がよくないのかもしれない。マンション暮らしだから、なるべく階下の人に迷惑をかけないように、すり足で歩くようにしている。それが毛玉を量産しているのかも。
でも、この靴下はべつに、部屋で履く用だ。ちょっとくらい毛玉ができていてもいいか、と思い直した。それに、毛羽立ったムーミンみたいでなんだか愛おしい。がんばって「冬」に適応しようとしてくれているみたい。
冷え性のための靴下、洗濯用に買い足そうかな
とっても気に入ったので、洗濯用に買い足そうかな。調べたところ、在庫切れを起こしているカラーもあった（冷え性に悩んでいる仲間がたくさんいるんだ……）。
この靴下でなくても、いいものがあったら試してみたい。
そもそも冷え性自体を改善したい気持ちも出てきた。インナーケアについても、いろいろ調べてみようと思う。
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