『私の生活改善運動』を読む。何度も読み返すくらいお気に入りのエッセイだ。本のなかに、こんな一節がある。
(前略)いろんなひとの本棚を見るのが好きだ。女友達の本棚も、SNSなどで背後に写り込んでいると嬉しくなって拡大して見てしまう。少ししか写っていないともっと見せろと心のなかの見たがりの大猿がガタガタ檻を揺らして暴れる。
安達茉莉子『私の生活改善運動』三輪舎、2022、p51
私の心のなかにもこの大猿がいる気がする。ひとの本棚は気になる。本棚を公開している人や本棚事情の話をしている人をネット上で見るとうれしい。
みんながもっと本棚を公開し、大猿たちがおおはしゃぎする世界になればいいのに。
そんな思いから、今日は本棚の話をしてみることにする。
大容量の本棚じゃないと、本が入りきらない
私はたぶん、120冊程度の本を所有している。少なくとも1年前くらいまではそうだった。本好きにとって本は勝手に増えていくもので、実際のところはよくわからない(みんなもそうだよね)。
これからも増えていくものとして、本棚は大容量でなければならない。だから本棚を買うとき、たくさん入るというのが第一の条件だった。
ネット上でひたすら探し回り、悩みに悩んだ挙げ句、現実路線でニトリの本棚を買うことにした。お財布やスペースと相談した結果である。お財布とスペースらは論理的で雄弁であり、感情的で夢見がちな私は話し合いに敗れた。
↓買った本棚
ニトリの白い大容量本棚、結構気に入っている
そんなわけで、結局ニトリかあ~みたいなニトリに失礼な感情で本棚を注文したが、これが案外よかった。白を選んだのもよくて、リビングに置いても圧迫感がない。
手前と後ろに2列作れるところも気に入っている。付属の板を自由自在に組み合わせて自分好みの本のコーナーを作っていく作業は、なかなか楽しかった。
私の本棚のとなりには彼氏の本棚もある。こちらもニトリ。見た目はほとんど同じだけど、彼の本棚はスライド式だ。文庫本が多い人はこちらも便利だと思う。※文庫本があまりない人は必ず後悔します。
大容量の本棚に、お気に入りの本が並んでいるさま
自分だけの大きな本棚。いつ眺めても安らかな気分になる。
海外文学コーナーには、黄色や水色、色とりどりの栞紐がだらりと垂れ下がっている。ちゃんと本に挟みなよという声も聞こえてきそうだが、この状態も杉田久女の俳句「花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ」を思わせるようで、どこか趣がある。と思うことにしている。
レシピ本のコーナーは特に美しい。凝った装丁の本が多い。特に海外のレシピ本は、まるで写真集のような雰囲気がある。この一角はおしゃれなカフェのちょっとした本棚に移設しても、違和感がないかもしれない。
詩歌のコーナーは特にカラフルで、絵本のような色合いだ。見ていると心がほっとする。このコーナーをカラフルにしているいちばんの理由は、短歌ムック『ねむらない樹』の存在である。あと『桜前線開架宣言』(ピンクすぎる)。
本の消耗度もさまざまなのがおもしろい。美術展の図録や、クロス装のペンギン・クラシックスシリーズは、とても大切に扱っているので傷ひとつない。
逆に文庫本は消耗度しているものが多い。サリンジャーの『フラニーとズーイ』はとくにボロボロだ。何度も読んできたので、ちぎれて色褪せている。本とともに過ごした時間や向き合い方が、可視化されるようでおもしろい。電子書籍にはない楽しみである。
これからも本棚を大事に育てよう
「視覚的にごちゃごちゃしているコーナーにはつっぱり棒でカーテンをつけてみようかな」とか、「あえて本を置かないコーナーを作って、雑貨を飾ってみようかな」とか、いろいろカスタマイズしていくのも楽しみだ。いつかは書斎を持つのが夢だけど、当分これで完璧。読書もはかどる。
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